2015/03/18

食料自給率

プランターに植え替えたカブが膨らんできています。




















おそらく糠床に漬けることになるでしょう。
あまり大きくならなかったとしても、葉の部分も漬けられますし、味噌汁の具でも可。
いろいろ使えます。
私の作物は自給するための食料ではなく、楽しむための食べ物です。
成長の早さも気にしませんし、収量も同様です(豊作ならそれは嬉しいですが)。

久しぶりにニュースから。
私は新聞を購読していませんのでネット上からの抜粋です。

農林水産省は17日に原案をまとめた「食料・農業・農村基本計画」で食料自給率目標(カロリーベース)を 50%から45%に下げる一方、日本の食料生産力を示す新たな指標を示した。 
もし食料の輸入が止まっても、国内農業をイモ中心に切り替えれば必要なカロリーを確保できるという。 
基本計画は、今後10年の農業政策の方針を示すもので、 今月中の閣議決定を目指す。これまではカロリーベースの食料自給率を重要視してきたが、生産力や、「売れる」農産物をどれだけ作っているかを重要視する政策に転換する。 
新たな指標は、いざという時に国産でどれだけの食料を供給できるかを示す「食料自給力」だ。戦争などで輸入が止まった場合に、国内で国民1人に対して1日にどれだけのカロリーを提供できるかを示す。 
体重を保つために人が1日あたり必要なカロリーを2147キロカロリーとし、どんな作付けでどの程度のカロリーを供給できるか、4パターンの試算(2013年度)を示した。 (以降記事は続く)

2015年3月18日 朝日新聞デジタルより

頻繁に取り沙汰される「食料自給率」の問題です。
記事全文は読んでいませんが(登録会員ではないので)、「生産力や、「売れる」農産物をどれだけ作っているかを重要視する政策に転換する。」とあり、これは判ります。
にもかかわらず、その下には「新たな指標は・・・戦争などで輸入が止まった場合に・・・」とな。
これはどういう事でしょう?

ざっと見ると、カロリー(供給熱量)ベースの目標値は下げ(これは上記記事と一致)、一方で生産額ベースの目標値は70%から73%に上げる、また飼料自給率の目標も38%から40%に上げるというもののようです。
目標値を見る限り、朝日の言う「有事」を想定した目標変更ではない気がします。
仮にそうだとしたら、カロリーベースの目標を下げるのは逆でしょうから。
ましてや「戦争などで・・・」などという記述や「イモ中心に切り替える」などという記述もありませんから、これは朝日新聞側の独自解釈ですね。
「戦争」「イモ」、朝日はこの記事に絡めて読者にイメージさせたい別の何かがあるのでしょう。
考えている事は十分わかりますけど、こんな記事にまで絡めない方が良いと思います。
職業病だと思うので仕方ないとは思いますが。

さらに一日前のもうひとつ別の記事

現代人の食生活では、メタボリックシンドロームなど肥満が問題視されることが多いが、 
実は日本人の平均的なエネルギー摂取量は以前に比べ減っている。特に若い女性で顕著な傾向で、 
専門家から「他の国では見られない現象だ」と懸念の声が上がるほどだ。 
「飽食の国」といわれる日本で、若い世代の女性の食にいま何が起こっているのか。その背景を考える。 (以降記事は続く)

2015年3月17日 毎日新聞より

毎日新聞の独自考察した「その背景」は関係ないので割愛しますが、日本人のカロリー摂取量は確かに減少傾向にあるかもしれませんね。
しかし食に対する対価は、どちらかというと増加傾向にあるのではないでしょうか。

農地や第一次産業従事者は年々に減少しているにも関わらず、日本の食品生産額(生産額ベースの自給率ではない)は、さほど下がってはいないようです。
農業でいうと米以外の作物では横ばい、もしくは微増傾向にあるといえます。
水産業でも遠洋以外では同様に微増しているようです。
米は減反政策、遠洋漁業は輸入に替わるという構造の変化がありますから、ある意味当然の結果とも言えます。
生産者数が減少しているにも関わらず、生産額が横ばいという事は生産性が向上しているとも考えられます。

そもそも、この「食料自給率(特に近年重視されていたカロリーベース)」の算出方法に無理があるのです。
例えば食肉の場合「畜産物については、国産であっても輸入した飼料を使って生産された分は、国産には算入していない」と農水省の資料に記述があります。
よって○○牛やら○○豚などの穀物(ほぼ輸入)を飼料としたブランド肉等は算入されないのです。
この算出方法において食料自給率を上げるという目標を掲げるということは「達成しない目標」をあえて掲げているに等しいこと。
畜産業を営む方々が、わざわざ高額な国産のトウモロコシを買ってまで農水省の掲げる食料自給率を上げるという目標に賛同するわけがありません。

先の農水省の資料では「我が国の食料自給率(カロリーベース)は先進国の中で最低の水準となっています」として他国との比較棒グラフがあります。
さも大問題だというような書かれ方なのですが、何か問題があるでしょうか?
しかも他国の自給率データが農水省と同一の上記のような算出方法なのかどうかも怪しいところ。

日本は資源に恵まれていないというのは事実です。
しかし日本の工業分野において、輸入した金属材料から製造した自動車や電気製品、そして輸入した原油による繊維や樹脂製品、もちろんそれらを製造する機械でさえもこれら輸入材料で賄われているのはあたりまえ。
これらの製品を「原料が輸入だから」と自給品か否かを論議する事はしませんね。
これは第一次産業においても同様で、大規模農業を実践しにくい国土である日本で農業を営む方が、トウモロコシではなく野菜や果実などのカロリーは少なくとも高額商品にシフトするのは当然です。
「日本産の米」や「和牛」に代表されるように高付加価値の商品を作れば良いと思うのです。
ただしその結果、カロリーベースの食料自給率は下がる一方でしょう。

日本だけでなく、多くの先進国は付加価値を売らなくてはならない構造であるのは当然のはず。
なのに農水省がこのような捻じ曲げた指標を元にする「食料自給率」を掲げ、農林水産業への危機感を提起するのは何故なのでしょうか。

私は農水省と、それにぶら下がっている団体の利権だと思っています。
農業や畜産、水産業に従事する人達が、ビジネス的に自立して行くのがよほど困るらしい。
関税やら生産調整やら「俺らが守ってやっているんだ」という事かな。
もし米農家さんが778%という関税で守られているのではなく、米の品質が自分達を守るんだと気付いてしまったら困りますもんね。
一種の愚民化政策とも言えましょう。

90年代初頭の米が不作のとき、タイ米が抱き合わせで販売された時がありました。
日本米を買うには必ずタイ米を買わなければいけないのです。
多くの方がそのタイ米を「要らない」といって店に置いていったのでしょう。
置いていかれたタイ米が鳥の餌より安く売られていたものです。
丁度その頃の私は無職だったこともあり、この激安(ただ同然)のタイ米に助けられたものです。
はたして日本の米を守っているのは関税でしょうか?

農水省にしてもメディアにしても、ある事象に対してわざわざ面倒なフィルターをかけて自分の主張に利用するので本当にややこしい。
第一次産業の方々、くだらない食料自給率などに構わず頑張ってください。
もちろん「補助金ないなら好きで国産大豆なんか作るか」という意見もありましょうが。
ところで農水省はバター不足の原因も誤魔化さずに白状した方が良いですよ。

0 件のコメント:

コメントを投稿