釣りの雑誌を眺めていました。
日本各地の「伝承毛鉤(テンカラ用)」を紹介する頁があり、その中で宮城県の遠刈田温泉周辺で使われていたという「遠刈田(とうがった)毛鉤」に目が止まりました。
この地方のまたぎの方々が岩魚を仕留めるために使っていた毛鉤です。
興味をそそられたのは、多くの日本の毛鉤のような蓑毛もなく、ハリに絹糸で巻きつけるものがキジまたはヤマドリの尾羽のストーク(羽軸、ズイと呼ばれる)のササクレだということ。
このような構造の毛鉤は日本はおろか、世界中にも存在しないでしょう。
材料はこれだけです。
ハリは「セイゴ(スズキの幼魚)12号(20mmほどある)」、アイは無く先糸として5号(!)のナイロンを7寸と書いてあったのですが、私は現代的にアイ付きのハリ、TMC100の#10にします。
これでも結構な大きさですし、ドライフライ用とはいえ太さも十分です。
胴に巻くのは「山吹の絹糸19番」と書かれていましたが、絹穴糸16号で山吹色がありました。
ヘンフェザント(メスキジ)のテイルがありましたのでこれを使います。
羽軸のササクレを巻くということなのですが、キジの尾羽のファイバーを引っ張るとこのようにストーク(羽軸)の表面が一緒に剥けてきます。
このササクレを左右に3対、絹糸で取り付けてゆくわけです。
しかしながら、ファイバーでなくどうしてこのササクレ側を使おうとしたのか。
その発想には敬服いたします。
その肝心なファイバーの方はシャンク(ハリの軸)に巻かれて行きますので、アイに近い方が結果的に太くなってゆきます。
このファイバーの束はザックリとカットすれば良いのでしょう。
とりあえず出来ました。
ササクレが少ないのかもしれません。
在庫の尾羽はセンターテイルだったのですが「8枚の尾羽のうち小さい方から3番目」がササクレが出易いとのこと。
まあ大丈夫でしょう。
下から見るとこのように。
山吹色のシルクのボディから左右対称に3対の羽(脚?)が出ている形。
ボディは前方にゆくに従って円錐形に太く。
上から見てみます。
カールしたササクレがボディーを覆うように。
ちなみにササクレを巻き止める際にファイバー部分を一定量露出するように巻きました。
これは雑誌の参考写真からの推測です。
今回使用したTMC100のハリ、普段はバーブレスフックを使用する事がほとんどなので、久しぶりに使った返し付きのハリです。
リリース前提ならばバーブレスにするのが常なのですが、今回の遠刈田毛鉤は職猟師が生業として岩魚釣りに使っていた毛鉤。
私もこの毛鉤は「今夜の夕食用の魚」を捕る為に使いたいと思うのです。
生活がかかっていれば、絶対にばらす訳にはいきませんよね。
この奇妙な毛鉤に魚達がどう反応するのか、早く試してみたいところです。
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