書初めならぬ、巻初めということで、竜の如き毛鉤を巻くことにします。
以前「Backwards Hirata Nymph」という毛鉤をご紹介しましたが、今回も後ろ向きです。
ですので「Backwards Caddis Larva」もしくは「Backwards Sedge Larva」でしょうか。
いずれにしても渓流釣りをしている方なら誰でも知っているし、餌として非常に重要だという事も痛感しているだろう、「ヒゲナガカワトビケラ」の幼虫「クロカワムシ」です。
長野県の珍味「ザザムシの佃煮」の材料であることも有名です。
ちょっと「竜」に似ているような気がしないでもない、と思いませんか?
(写真は「水生昆虫とフライ・フィッシング/田代忠之・法之著」より)
使用したフックは「TMC947BL #12」ですが、現在は販売されておりません。
かなり昔のことですが、八王子で仕事をしている時、たまたま寄った上州屋で安売りしていたものですからまとめて買ってしまったものです。
このフックはモンカゲロウのニンフ等を作る時に主に使用していました。
ですが最近リアルなニンフを作ることもなく、#8から#16までかなりの量をストックしています。
まず下巻きをします。
スレッドはユニスレッドの「Black 8/0」です。
ゲイブの途中まで巻きます。
ヘンフェザント(メスキジ)のテイルを固定します。
これがヘッドとレッグになりますので、長さは予め見当をつけなければなりません。
フェザントテイルをアイ側にたくし上げ、スレッドで一度固定します。
これがヘッドとなります。
フェザントテイルのファイバーを左右に分けつつ、シルバーワイヤを固定しておきます。
これが後にリブになります。
これからアブドメン(腹部)をハーズイヤー(うさぎの耳の毛)で作ります。
まずスレッドにワックスを塗り込みます。
今回使ったハーズイヤーのダビング材は写真の4種類をブレンドしてみました。
実際のヒゲナガのラーバ(クロカワムシ)というと暗緑色というイメージです。
しかし、魚達がこの「色」を人間と同様に認識しているかは不明です。
さらに餌としてよく売られている「ブドウムシ(蛾の幼虫)」のような白い虫は水中には殆どいないにも関わらず、魚達は喰ってきます。
勝手な想像ですが、クロカワムシに似せた色にしても、魚達が「クロカワムシ」だと認識してくれるわけではない、人間とは異なる色で見ている可能性が高いという判断です。
ですので、アースカラーというか、「虫らしい」色にしてみました。
後にピッキングする事を想定してダビングします。
予め取り付けておいたシルバーワイヤをリビングします。
シルバーワイヤをスレッドで固定しウィップフィニッシュします。
最後にアイ(テール)の部分をクリアのエナメルで仕上げます。
さらにアブドメン(ボディ)をピッキングしてモジャモジャ状態に。
実際のカディスラーバはこんなに太ってないだろう、と思うでしょう。
それはこのモジャモジャボディを空気中で見ているからです。
ダビング材(ハーズイヤー等)の水中での状態は「トロロ昆布」だと想像してください。
空気とは屈折率の異なる水中でのダビング材は、とろけたゼラチン状に見えます。
TIEMCOから「メルティーファイバー」等の科学繊維のとろける素材も販売されていますが、私は天然素材信者なので、ハーズイヤーに勝る物は無いと考えています。
上から見るとこんな感じです。
「Backwards」にする理由は、二つ。
レッグによりフックのゲイブの存在を曖昧にすること。
そして勝手な思い込みですが、水生昆虫が流された場合の体勢です。
早く底に隠れたいと思っている昆虫達は川底に向かって懸命に泳ごうとしているのではないか。
そうであれば、ダウンクロスでキャストした場合、後ろ向きの方が自然な体勢なのではないかという考えによります。
いずれにしても川で試すしかありません。
解禁までは、まだ期間があります。
すこし巻き貯めておこうと思います。
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