2011/10/16

生物という浄化装置

「東京海洋大のチームは15日、福島県いわき市の沿岸で今年7月に採取したプランクトンから、高濃度の放射性セシウムを検出したとする調査結果を発表した。小型の底生生物からも比較的高い濃度を検出した。東京電力福島第1原発事故の放射性物質が取り込まれたとみられ、プランクトンを餌とする魚類への影響が懸念される。石丸隆教授は「食物連鎖で魚にどのように濃縮されるか分からないので継続的な調査が必要だ」と話す。」(MSN産経ニュースより)

プランクトンに限らず、生物全てが浄化装置のような気がします。
「風の谷のナウシカ」のようになってしまいますが。
自分の周りの空気(水)を絶えず体内に導いて、必要な酸素(植物なら二酸化炭素)や栄養素を吸収し、ろ過して体外に放出する、それが生物の基本的な営みではないでしょうか。
もちろん放射性物質を吸収したいわけではないのでしょうが、このプログラムだけは太古から変わっていないはずです。
カリウムを積極的に取り入れる生物(多くの植物はそうですが)なら、セシウムを体内に沢山蓄えてしまうというのも当たり前のような気がします。

建築の仕事をしていますので、例えば「石灰岩」という石を使ったりします。
主成分は炭酸カルシウムなのですが、なぜ炭酸カルシウムが高濃度に集まって石材となったのか。
主に生物の仕事の結果です。
サンゴや貝など、海洋生物はカルシウムで自らの体を形成するものが多く生息します。
その死骸が海底に堆積し地殻変動で地上に現れたのが石灰岩と言われています。
我が家の床に使用している石灰岩にもアンモナイトの化石が入ってます。

「原油」だってそうです。
太古の植物の体(つまり有機物)が地中で変化し生成したものです。
植物なんて、太陽光と水、二酸化炭素からあらゆる有機物を生成するハイテク装置です。
生物がいたからこそ、ある特定の物質が生成され、高濃度化したという物がたくさんあります。
だからこそ、農業や畜産業という生物の生成能力を使った産業ができるのですから。

放散された放射性物質は生物の営みによって、長い年月のうちにはどこかに集まるのかもしれません。
何万年という年月の話かもしれません。
一体どんな状態になっているのでしょうか。
セシウム入り石灰石か、セシウム入り原油なのか。

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